授業をしていて、「先生、これなんて読むのー?」と中学三年生に聞かれて、
目を凝らす
え?中学三年で「目を凝らす」という言葉を知らないの・・?と愕然とするようなことがたまにあります。
確かに普段、話し言葉で「よく目を凝らしたらどうのこうの・・」なんてなかなか言わないので、教科書等でしか目にしない表現なのかも知れません。
それにしても今の若い人たちは言葉を知らないなと感じることが多いです。
そんな折、こんなニュース記事が目に留まりました。
そしてこんなツイートにも納得。
なるほど、今の10代の子たちはテレビなんて見ても面白くないので、自分の好きな若いYouTuberばかりを見て育っているのか。
テレビを見ずに育った人は、ニュース番組でアナウンサーが使うような言葉に触れる機会はまず無いでしょう。
体は食べたものから作られるように、自分の言葉は目にした言葉や耳にした言葉から作られます。
そりゃ知らない言葉が多いわけだ。
普遍的であるべき言葉
言葉とはコミュニケーションツールです。
多くの人がそれぞれの言葉に同じ概念を結びつけているからこそコミュニケーションツールとして使い物になるわけです。
そういう意味では言葉は普遍的かつ不変的であることが望ましいと言えます。
ある日を境に一部の人達だけ「暑い」と「寒い」の意味がひっくり返ったりしたら混乱必至ですよね。
多くの人と同じ概念を共有できるからこそ安心してその言葉を使えるわけです。
そんな普遍的であるべき言葉が、次の世代に受け継がれないなんて・・。
憂うべき事態です。
革新的であるべき言葉
若者の間では見たことも聞いたこともない言葉が飛び交い、そんな言葉知らねーよ、うっせーよと言わんばかりに小難しい表現は見向きもされない。
最近の若者ときたら・・と嘆く年長者たち。
って実は、この状況こそが普遍的なんですよね。
言葉は変わりゆくものだというのは歴史が証明しています。
日本独自のかな文字が出来始めた時代、武人が権力を握った時代、西洋文化が一気に流れ込んだ時代、その時々の変化を乗り越えて今の言葉があるわけです。
言葉を破壊するな!と若者に対して言っている年長者もかつては破壊者だったはずです。
いつの時代も。
若者が革新的な言葉を使うからこそ言葉は変化しうるし、その結果として今の豊かな表現力を持つ日本語があるんだと思います。
言葉はどうあるべきか
と、私は一歩引いた視点でものを見るのが好きなので、つい変わることが唯一の変わらないこと的に考えてしまいます。
とはいえ、もちろん若い人たちには沢山の言葉を学んで豊かな表現力を手にしてほしいと思っています。
言葉というのは利用上、普遍的であることが望ましいのですが、一方で、それまでなかった新たな概念に新しい言葉を充てがったり、社会に合わせて変化しうる柔軟性が備わっているという点も非常に重要な機能の一つだと言えると思います。
結局、言葉が世代を超えて広くコミュニケーションツールとして使われるためには、出来るだけ変化しない方がいいけれど時代に合わせてゆるやかに変化していくというぐらいが理想的なのではないでしょうか。
その絶妙なバランスを保つ為に年長者に課せられた役割は、革新的すぎる若者の言葉をたしなめ、古い言葉を無理やりにでも受け継がせようとすることなのではないかなと思います。
言葉の変化の割合がちょうどいい塩梅になるように、我々年長者は保守派として、革新派の若者に負けないようにしっかり古き良き言葉を伝えていきましょう。
小さい頃から面白おかしいYouTube動画ばかり見るのではでなく、ニュース番組や活字媒体にも触れて口語表現以外の言葉もインプットしなさいと。
まさか子供の頃テレビ言葉に毒されて年長者にたしなめれられてきた我々が、YouTube言葉に毒される若者に対し「たまにはテレビも見なさい!」とたしなめることになろうとは。(^^;)
という流れでYouTubeを紹介するのもなんですが、面白くて勉強になるチャンネルなので言語に興味のある方は是非チェックしてみてください。↓
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